35年前に購入したCDプレーヤーの内部を確認しました。
ソニーのCDプレーヤーCDP-338ESD、1988年発売のCDプレーヤー専用機で当時の定価で89,800円もするものでした。
「バラコン」では10万円を超えて天井知らずの高級機クラスもあれば5万円以下で買える普及機クラスもあり、その中間に8万円前後のそこそこいいグレードのものがありました。
この8万円台クラスのいいところは、高級ステレオとしては求めやすい価格帯であることと、メーカーが力を入れる高級機に導入された技術をコストや機能をある程度は控えるなどの工夫で継承していたり部材や造りにお金をかけていたりと、高級機ほどではないけど十分に満足できる価値が提供されているところにあります。
ソニーのシリーズでは222、333、555、777という型名でクラス分けがわかりやすかった時期もありました。
つい先日、1987年に発売され1988年に購入したカセットテープデッキの故障が判明したので修理に出しました。その修理業者さんのブログの中でSONY CDP-338ESD固有の問題があったことを知り、自分のものも確認してみることにしました。
ラックから降ろし、サイドパネルと天板を外してご開帳。
各部を眺めてみます。
パソコンが普及して各パーツが安くなって以降はオーディオCDプレーヤーもパソコン用のCD-ROMドライブユニットと同じか同等のものを搭載するようになりましたが、この時代のものは当然専用のドライブユニットです。トレイですらCD-ROMドライブのペラッペラのものとは雲泥の差です。
今回のチェックは主にアルミ電解コンデンサです。
電源部、問題無さそう。
メイン基板の裏面寄り部分、電解コンたくさんありますがこちらにも特に異常なものは見当たりません。
表面寄りの部分には小さいものばかりで、こちらも問題なし。
そして問題のコンデンサーはコレです。
元々は左の茶色い電解コンデンサと同じものが右にも載っているはずで、僕のCDプレーヤーは右側が黒いものになっています。
修理業者さんのブログではこの右側の電解コンデンサの頭が膨らんでいたそうで、取り外してみたら極性が逆についていたそうです。ブログの内容によると、基板表面のシルクプリントに誤りがあって部品実装用の表記に従って電解コンを載せると極性が逆になるそうです。シルクプリントにはコンデンサの回路図記号と「+」の極性表示があり、さらに部品実装用の表示としてコンデンサの外径に合わせた丸印とマイナス極を意味するドットマークがあるのですが、このドットマークが逆側についているようです。
僕のプレーヤーで片方の電解コンが違っているのは、いつかの時点で交換されたのだと思われます。
電解コンの極性を逆につけたら電源部のような回路だと、焼ける、破裂する、防爆弁が開く、漏れ電流が発生して本来の機能を失う、ショートして二次被害を及ぼす、など致命的な問題を起こしそうですが、新品で購入してからこれと言った異常は感じられませんでした。
ネットに英語版のサービスマニュアルがあったので、基板のパターン図と回路図を見てみました。
赤い丸は基盤表面のシルク印刷を書いたものです。
C906(写真の茶色の電解コンデンサ)は回路図記号のマイナス極になるほうにドットマークが付いており、極性表示に食い違いはありません。C905(写真の黒色の電解コンデンサ)は回路図記号のプラス極側にドットマークがついており、極性表示が食い違っています。そのため、電解コンデンサの外装フィルムについているマイナス極を表す帯とドットマークを合わせて基板に部品を実装すると極性が逆になってしまいます。
このコンデンサが回路中のどこで使われているかというと、
+12V/-12V電源のレギュレータ回路でしょうか。1000μFのC905/C906はレギュレータの出力コンデンサのようなので電源を安定させる働きをしますが、これが焼けてしまうと最悪はショートしてしまいます。焼損の事例があったかどうかは判りませんが、膨らんでしまっていても焼けるほどではなく電源供給はされるようなので大事には至らなかったということでしょうかね。
僕のCDプレーヤーでコンデンサがいつの時点で交換されたのかわかりませんが、工場で組立時は組み間違えていたが販売前に修正済みだった、あるいは、2005年にCD読み込み不具合でメーカー修理に出すまでなんとか動いていたけど修理の際に併せて交換された、のどちらかですね。
対策済みであることが確認できましたので、このままもとに戻しました。
今や配信音源の普及でCDの存在価値も危うくなってきましたが、コンパクトディスクがアナログレコードの地位を奪った時代のプレーヤーはこんなにも高級感があってボタンだらけでした。内部も、信号処理を行うメイン基板の部品配置だけでなく電源の構成にすら設計者のこだわりが詰まっています。2000年頃はMDも普及したし、オーディオ機器そのものもデジタル化が進みました。ボタンによる機械的な操作からソフトウェアによる制御に変化しましたので、上の写真に写っているネットワークオーディオでは本体のボタンは大幅に削減されました。
修理に出したカセットテープデッキはひとまず修理受付はされましたので、しばらくしたら戻ってくることと思います。そちらについてはまた後日。
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